甲斐です。

 

今回は社会心理学の世界的名著を取り上げていきたいと思います。

 

原書の初版が1988年、翻訳版が1991年と、

”25年以上”も前から市場に出回っている書籍ですが、

未だに大勢の人たちに読まれているロングセラーです。

 

著者はアリゾナ州立大学心理学部名誉教授の

ロバート・B・チャルディーニ氏。

 

アメリカを代表する社会心理学者の一人です。

 

影響力の武器−なぜ、人は動かされるのか(ロバート・B・チャルディーニ)レビュー

 

「影響力の武器−なぜ、人は動かされるのか」は、

ロバート・B・チャルディーニ氏が社会心理学の原則に基づく

「人を動かす6つの方法」を「影響力の武器」と称して、

全496ページに渡って解説している心理学入門用の書籍です。

 

本書を読むことによって、普段から人に何かをお願いする時に

何気なく使い、使われているような説得のテクニックをはじめ、

今現在、世界中の様々なビジネスのマーケティングやセールスで

一般的に使われている承諾誘導テクニックなどの原理原則を学べます。

 

全編通して、まず各方法にどのような効果があるのか理論的な説明から入り、

次に具体的な事例や、実験とその検証結果の紹介を行い、

最後にまとめとして防衛法を考える、という流れに沿って解説されており、

イメージの湧きやすい事例が豊富でサクサク読み進めることができます。

 

心理学を学んだことのない初心者にも分かりやすく、

体系的に構成されていて、とても読みやすい書籍だと思います。

 

例えば、途中で読むのが億劫になってしまうような、

専門用語満載の学術書のように気構えることもなく、

ビジネス書や教養書のような感覚で気軽に手に取って読むことができます。

 

決してページ数は少なくありませんが、

その割には意外とライトな内容だったな、と感じてしまうほど、

一気に大量の情報をインプットできる一冊です。

 

過去にこの類の書籍を読んだことがなければ、

老若男女、ビジネスの売り手、買い手を問わず、

”一読の価値ある書籍”なのではないでしょうか。

 

ロバート・B・チャルディーニが提唱する人を動かす6つの方法

 

「影響力の武器」の著者ロバート・B・チャルディーニが

本書で取り上げている「人を動かす6つの方法」は

以下の「6つの心理的法則」を基に理論的に説明されています。

 

  1. 返報性の原理
  2. 一貫性の法則
  3. 社会的証明
  4. 好意
  5. 権威への服従
  6. 希少性の原理

 

上記の「6つの心理的法則」を解説していきます。

 

返報性の原理

 

人は他人から何らかの施しや好意を受けた場合、

”お返しをしなければならない”という感情を抱きます。

 

例えば、好意には好意で報いる、恩を恩で返す、ギブアンドテイク、など、

人間社会、文化にこうした返報性のルールが出来上がっています。

 

もしもルールを守らなかった場合は、

その人はたかり屋、恩知らず、薄情者、など、

社会的制裁や嘲笑の的になってしまい、結果的に損にしかなりません。

 

なので、人は返報性の原理には従ったほうが良い事を

成長過程で学び、潜在的に知っているため、無意識的に従います。

 

その短格的な意思決定を「返報性の原理」といいます。

 

一貫性の法則

 

人は一度決めたことをやり通そうとします。

 

何故なら、一貫性のある人の方が

他者から高い評価を受けるという考えがあるためです。

 

例えば、行動、発言、態度、信念、など、

コロコロと言動が変わる人を目の前するとどう感じるでしょう。

 

おそらく、大半の人はこう思うはずです。

 

「こいつは信用できないな」と。

 

つまり、言い換えれば、一貫性のない人は

他人から見て「自分を裏切りそうだ」と印象付けてしまい、

結果的に自身が損をしてしまう可能性が高くなってしまうわけです。

 

なので、人は自分の発言に矛盾がないように

一貫性のある行動を取り、無駄な損失を避けようと行動します。

 

その短格的な意思決定を「一貫性の法則」といいます。

 

社会的証明

 

人は集団の中で自分を支持する意見が全くないと、

自己の意見の妥当性に疑問を感じ、

意見を取り下げてしまうのが普通です。

 

つまり、自分が今から何を信じるべきか、

どのように振舞うべきかを重視するのは、

他人が何を信じているか、どのように行動しているか、です。

 

それは極力リスクの少ない方法を選ぶことで、

無駄な失敗を減らし、損失を避けるためです。

 

人は多くの場合、自主的には動けず、

他人の行動を基準にして物事を決定してしまいます。

 

その短格的な意思決定を「社会的証明」といいます。

 

好意

 

人は自分がよく知っていて、

好意を寄せている人の頼みごとを聞き入れやすく、

それだけの理由で「イエス」と言う傾向があります。

 

例えば、取引先、知人、友人、恋人、家族、など、

好意を寄せている人のお願いは聞いてあげたいと思うのが普通ですが、

道端ですれ違っただけの名前も顔も知らない人の場合はどうでしょうか。

 

考えるまでもなく、普通は「相手にしない」と思います。

 

人を好きになるにはいくつか理由が挙げられますが、

その中でも特に「類似性」は強く影響すると言われています。

 

人は自分に似ている人を好意的に感じるのです。

 

それは意見、性格特性、経歴、ライフスタイル、出身、など、

「類似性」を感じることができる要素であれば何でも構いません。

 

まさに地元のスポーツ選手を応援する人の心理ですね。

 

人の評価は単純に「似た者同士」というだけで上がります。

 

そして、もう一つ好意に強く影響するのは「接触回数」です。

 

単純に接触回数を増やしていくことによって、

相手が抱いている「警戒心」が徐々に薄れていくため、

大抵の場合は好意を促進することができます。

 

ただし、あくまで「親密度」を高めるだけで、

なかなかそれだけで「好きになる」とまではいかないようです。

 

例えば、異性同士の関係が分かりやすいのですが、

電話やメールなど、連絡があまりに多い場合は

相手が嫌気をさしてしまうこともあります。

 

まさにストーカーなんかがそうですね。

 

同性でも最初から嫌われてしまっている場合は

余計に嫌われてしまうだけなので、注意が必要です。

 

この接触回数を上げることで好意促進する方法を

心理学では単純接触効果(ザイアンスの法則)といいます。

 

権威への服従

 

人は権威者の命令や要求に従うことによって、

常に実質的な利益をもたらしてくれることを経験則などから知っています。

 

例えば、幼い頃で言えば、親、教師、など、

忠告に従えば自分のためになると教えられます。

 

自分が無駄な遠回りをしなくてもいいように、

「権威者は思考の近道を提供してくれるのだ」と、

成長とともに少しずつ人は学習していきます。

 

それは成人になったからと言って、

服従する立場が変わることはありません。

 

職場の上司、会社の経営者、警察、政府、など、

大抵の場合、賞罰は権威者が決めるはずですから。

 

つまり、人は年齢に関係なく生涯に渡って、

権威に服従することで利益がもたらされるということです。

 

この「権威」は言い換えれば「専門家」であり、

医者や弁護士なども該当します。

 

基本的に「権威者(専門家)」の言うことは

素人よりも理屈に合っていることが多いので、

指示に従うのは至って合理的な判断です。

 

ただ、そこで注意しなければいけないのは、

服従したほうが多くの場合は報われると知っていることで、

権威者に対して盲目的になってしまっている点です。

 

例えば、医者の判断に看護師が無意識に従うことで

通常通りであれば回避できたはずの医療ミスが起きるように、

権威者の言うことが理屈にあっていなくてもつい従ってしまい、

その結果、ミスを犯してしまう場合があります。

 

「権威への服従」は一種の短絡的な意思決定ですが、

一概に悪いとは言えず、大抵の場合はその判断は報われます。

 

ただ、本当に従うべきかどうか、

その見極めが重要になるということです。

 

希少性の原理

 

人は機会を失いかけると、

その機会をより貴重で価値あるものとみなす性質を持っています。

 

  • 何かが壊されることによって機会を失う場合(芸術品、景色)
  • 貴金属のようにあらかじめ制限されている場合(ダイヤモンド、高級車)
  • 暴力やポルノなど禁止されている場合(禁じられた恋愛、内緒話)

 

上記のように、人は機会が少ないものを欲しいと考えます。

 

実際のところ、手に入りにくいものは

それだけ貴重なものであることが多いため、

商品や経験を入手できる可能性(機会)の大小というのは

それらの質を判断する”てっとり早い手がかり”になります。

 

そのため、「希少性の原理」は短格的な意思決定とは言え、

通常であれば効率的で正確な判断を下せることが多いです。

 

ただ、自分たちが提供しているものに対する価値を錯覚させるため、

わざと数量を限定したり、時間を制限する人もいるので注意が必要です。

 

以上が影響力の武器で提唱されている「6つの心理的法則」です。

 

より詳しい解説は当ブログコンテンンツでも取り上げていますので、

興味があれば、時間のある時にでも読んでみてください。

 

>ネットビジネス心理学講座

 

影響力の武器を手に取るべきは・・・・・・。

 

「影響力の武器」を手にすることによって、

日常生活では、違法販売やカルト宗教への勧誘などから身を守り、

ビジネスでは、顧客心理の理解を深めるために一役買ってくれると思います。

 

特に他人から騙されやすい傾向のある方は

自分への戒めに一度読んでみるといいと思います。

 

本人の自覚症状がない場合は、

おそらく、”目が醒める”ような思いに駆られるでしょう。

 

ただ、正直なところ、

今では「影響力の武器」をより専門的に解説した書籍や、

より広義に渡って科学的に解説している書籍も多く出版されているので、

この類の心理学書籍に目を通したことがある人にとっては

少々「物足りなさ」を感じてしまうかもしれません。

 

ビジネス関連のノウハウ書で提唱されている承諾誘導テクニックも

その大半の元ネタが「影響力の武器」である場合も多々ありますので、

勤勉なビジネスマンも、どこかで見たことや聞いたことのある内容だと

少なからず感じるのではないか、と思います。

 

むしろ、ビジネスのマーケティングにせよ、セールスにせよ、

今となっては本書に書いてある内容は「常識レベル」でもあり、

最低限の知識として知っておかなければ全然話にならない、と思いますので、

そういう意味では「ビジネスパーソンの必読書」として挙げることができます。

 

実際、ネットビジネスでは定番中の定番として扱われている書籍ですからね。

 

実用向きではありませんが、時代が変わっても左右されることがない

人間の不変的な心理をこれ以上体系的に学ぶことができる書籍は

なかなか探しても見つからないと思います。

 

なので、私は今から「心理学を学ぼう」と考えている方や、

「承諾誘導テクニックを習得したい」と考えている方など、

その「1冊目」として手に取ってみることをオススメします。

 

勿論、そういった心理学や承諾誘導テクニックなどの知識がある方も、

その根底にある原理原則をより深く理解するのには申し分ない良書なので、

一読する価値は十分にあると思います。

 

興味があれば、是非読んでみて下さい。

 

他にも心理学や承諾誘導のテクニックに関する書評をしていますので、

そちらも併せて参考にしてみていただければと思います。

 

お勧め書籍一覧はこちらから

 

それでは。

 

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